1970年と2025年の大阪万博、何がどう違うのか?
1970年に大阪で初めて開催された万博。あの「太陽の塔」が象徴的で、今でも多くの人が万博記念公園を訪れています。そして2025年、再び大阪で世界が注目する万博が開かれます。高度成長時代と持続社会時代との差異があり、大きな違いが出てきています。
では、時代を超えた万博では何が変わったのでしょうか?ここでは、「技術」「会場の雰囲気」「人々の価値観」の3つの視点から見ていきましょう。
技術の進化:電話からAI・ロボットへ
1970年の万博では、「携帯型の電話機」が未来を象徴する技術として展示されていました。当時は肩にかけるほど大きく、電池もすぐ切れてしまうものでしたが、「持ち歩ける電話」という発想がすでに革新的だったのです。
一方、2025年の万博では、5G・6G通信、AIアバター、空飛ぶクルマ、さらにはバーチャル空間との融合などが注目を集めています。スマートフォンが当たり前の存在となった現代では、もはや「会話」以上に、AIによる自動応答や翻訳、行動予測がテーマになってきています。技術の進化は、単に便利になるだけでなく、「人間のあり方」そのものを変えつつあると言えるでしょう。
会場の雰囲気:公園から未来都市へ
1970年の万博会場は「自然と共生する空間」として設計され、今も万博記念公園として緑豊かに残っています。パビリオンも独立した建物が立ち並び、それぞれがテーマ展示を行っていました。会場内ではアナログなポスターや掲示板、案内放送などが来場者のナビゲーションを担っていました。
対して、2025年の会場である夢洲(ゆめしま)は「未来社会の実験場」として設計されています。会場自体がデジタルとリアルの融合空間になっており、スマートフォンやARグラスでリアルタイムの情報を受け取りながら、ナビゲーションや翻訳、展示体験が進んでいきます。建築物もSDGsを意識した再利用素材や自律エネルギーで設計されており、まるで「未来都市」のような空間が広がります。
価値観の違い:大量消費から持続可能性へ
1970年の万博は、高度経済成長のまっただ中に開催され、「新しいモノ」や「夢の未来」がどんどん登場する時代でした。人々は「便利」「かっこいい」「たくさん欲しい」といった価値観に惹かれ、展示された家電や自動車などに強い関心を示しました。
ところが2025年の万博は、「いかに持続可能な社会を実現するか」が中心テーマです。展示されるのは、省エネ、リサイクル、循環型社会といった観点を持った技術やライフスタイル。人々の価値観も「モノを持つ幸せ」から「未来をつくる責任」へとシフトしており、来場者自身がその一部になる体験を重視した構成となっています。
開幕した2025年大阪・関西万博、現実と期待のギャップを読み解く
2025年4月13日現在、大阪・関西万博はついに開幕しましたが、華やかなスタートの裏で「想定との差」がすでに浮き彫りになりつつあります。国のパビリオン準備の遅れ、来場者数の伸び悩み、そして1970年の万博と現在の日本の国際的立ち位置の違い——それぞれの要素を数字とともに読み解いてみましょう。
開幕初日でも開館していないパビリオンが複数存在
2025年4月13日の開幕初日、インド、ネパール、バングラデシュ、ナイジェリア、イラン、エジプト、フィリピン、アルゼンチンなど、合計8か国のパビリオンが未開館という事態が報告されました。理由はさまざまで、建築資材の輸送遅れや、装飾にこだわったための工程遅延、人員確保の問題などが挙げられています。
とくにインド館は、外観に伝統建築の石材を多用する構造になっており、完成に時間がかかっているといわれています。これらの情報は、大阪・関西万博協会が運営する公式サイト「expo2025.or.jp(公益社団法人2025年日本国際博覧会協会)」でも随時発表されています。
未開館のパビリオンについては、今後5月末から6月上旬にかけて順次オープン予定とされており、訪問のタイミングによっては「全館制覇」が難しい状況が続くかもしれません。
来場者数、予想2800万人に届くのか?
大阪・関西万博の来場者数の見込みは会期半年(2025年4月13日〜10月13日)で約2,820万人とされています。これは1日平均で約15万人が来場する計算です。
しかし、開幕からの初週(4月13日〜19日)の実績では、1日あたり約8〜10万人台にとどまっており、想定よりも30〜40%下回るペースで推移していることが報道されています(出典:読売新聞、日経新聞など2025年4月報道より)。
理由としては、準備の遅れ、春時期の天候不安、アクセス面での課題、そして一部で盛り上がりに欠けるPR施策などが指摘されています。SNSでは「まだ行くタイミングじゃない」「混んでそうで様子見」といった声も多く、出足が鈍い印象です。
なお、1970年の大阪万博では6か月間で6,421万人が来場しており、今回の目標人数は当時の約44%程度に設定されています。この背景には、日本の人口減少や海外からの観光客数の変化が反映されています。
1970年と2025年、日本の立ち位置の変化とは
1970年の大阪万博は、日本が高度経済成長期のまっただ中にあり、「未来を象徴する国」として国際社会の注目を集めていました。当時は世界初のエスカレーター搭載パビリオンや、人類初の月面着陸を映像で再現した展示など、技術力で世界をリードする勢いがありました。
一方、2025年の万博は、世界の中で日本が果たすべき役割が「技術のショーケース」から「社会課題への解決提案」へと変化しています。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」であり、再生可能エネルギー、SDGs、バリアフリー、少子高齢化などの現実的な課題解決に焦点が当たっています。
また、1970年当時は海外旅行が珍しく、外国の文化に触れられる万博に国民の関心が集中しましたが、現在は「国際交流」自体が日常化し、来場者の目線もより批判的・選別的になっています。
今後、来場者数がどこまで巻き返せるか、そして各国パビリオンがどれだけ完成度を上げていけるかが、2025年大阪・関西万博の成否を左右する重要な鍵となりそうです。
万博で未来を体感!注目の先端技術展示をチェックしよう
2025年の大阪・関西万博は、未来社会を「体験」するイベントでもあります。従来の展示以上にインタラクティブで実験的な技術が導入されており、見て触って感じられるコンテンツが盛りだくさんです。ここでは特に話題になっている3つのジャンルから注目の展示を紹介します。さらに、補足的に詳しく調べたい方に役立つ公式・専門情報サイトも記載しています。
日本初の純国産量子コンピュータが8月に一般公開予定
大阪・関西万博では、2025年8月をめどに日本発の「純国産量子コンピュータ」が一般に初めて公開される予定です。この量子コンピュータは、理化学研究所(RIKEN)と富士通が共同開発しているもので、量子ビット(qubit)の精度と制御性を高めた日本独自設計とされています。
この装置は、AIや気象シミュレーション、新素材開発など、既存のスーパーコンピュータでは処理に時間のかかるタスクを高速に解くことが可能です。万博では、その処理の様子をリアルタイムで可視化する展示になる予定です。
参考になるサイト: 理化学研究所 量子コンピュータ研究センター(https://www.riken.jp/research/labs/qcs/) 富士通 量子技術公式ページ(https://www.fujitsu.com/jp/innovation/quantum-computing/)
自分そっくりのアバター「ヌルヌル」や人型アンドロイドとの対話体験
来場者自身の顔や表情、話し方をデータとして読み取り、**そっくりの仮想アバター「ヌルヌル」**を生成するシステムが体験可能です。「ヌルヌル」は、関西大学などが中心になって研究している人間-デジタル統合のプロジェクトで、感情認識や個性再現にも対応するのが特徴です。
さらに、人間そっくりのアンドロイドとの自然な会話体験も目玉展示の一つ。これは石黒浩教授(大阪大学)が監修しており、過去に開発された「ジェミノイドHI-4」などの進化系が出展される見込みです。
参考になるサイト: 大阪大学 石黒研究室(https://www.is.sys.es.osaka-u.ac.jp/) 関西大学「人間拡張研究センター」(https://www.kansai-u.ac.jp/ja/about/organization/research/human-augmentation/)
バイオ×AIの融合、作曲AIやiPS細胞の実物展示も
バイオテクノロジー分野からは、作曲AI「Amadeus Code」や、iPS細胞を使った再生医療サンプル展示などが登場します。特にiPS細胞の展示では、細胞の分化過程を観察できる映像や、将来の医療応用シミュレーションをインタラクティブに体験できるブースが設置される予定です。
また、作曲AIは、来場者の心拍や脳波に応じて音楽を生成するというパーソナルAI作曲体験を提供。これによりAIが人間の感性をどう再現するのかを目の前で確認できます。
参考になるサイト:iPS細胞研究財団(https://www.cira-foundation.or.jp/) Amadeus Code(https://amadeuscode.com/ja/)
未来の社会がどのようなものになるのか、それを直接「触れて」「動かして」体感できるのが、今回の大阪・関西万博の最大の魅力です。展示技術が好きな人は、夏以降の本格的な展示解禁に向けて、時期を見て訪問するのもおすすめです。
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