本稿では急速に広がる汎用人工知能(AGI)の開発方向性をグーグルディープマインド社の明確にした主張を通じて確認し、その言葉を一つずつ分解して解きほぐしていきます。きっと読者諸氏にとっても「AGIを研究していく指針」が分かりやすくなるでしょう。
「2020年の調査では、全世界において37カ国で汎用人工知能の研究・開発が行われており、さらに72個のプロジェクトが進行中であることが確認されている。(Googleより引用)」 Baum, Seth, A Survey of Artificial General Intelligence Projects for Ethics, Risk, and Policy, Global Catastrophic Risk Institute Working Paper 20,
OpenAIと別陣営のAGI(その主張)
AGI(汎用人工知能)を作成している陣営は大きく2つに分かれると言えるでしょう。まず、サム・アルトマン率いるOpenAI社のAGI。そして、今回ご紹介するGoogle関連の会社で作成するAGIです。EUや中国も国家主体で開発を進め追随していくと予想されます。そのなかで特に、2024年10月末の時点で英グーグルディープマインド社のライラ・イブラヒムCEOは日経新聞の取材に対して以下「究極の目標」を語りました。:
人間のような広範な知的活動が可能な
汎用人工知能(AGI)が「究極の目標」(である!!)
ちなみに2024年のノーブル化学賞は同社のデミス・ハサビス氏らが受賞しています。同社は同氏等が2010年に英国で設立したディープマインド社にGoogle本社がAI開発部門を統合させ2023年に発足しました。
具体的に初の分野での活動が期待されます。
法律の分析と裁判サポート
- 裁判の際、過去の判例や法律、関連文書を調査して最適な戦略を提案。
- 証拠や証言を分析し、事件解決に必要な手法や方向性を導き出す。
- 改正が必要な法律や規制を提案し、政策形成の参考資料を提供。
教育分野での指導と学習計画の最適化
- 各生徒の学習状況を把握し、個々のニーズに合った教材や学習方法を提供。
- 学習進度に合わせて指導方法を変え、学習成果を最大化。
- 分野を横断して学生の興味や将来のキャリアに応じた最適なカリキュラムを設計。
企業経営における意思決定サポート
- 市場や消費者の動向、競合の動きをリアルタイムで分析し、最適な経営戦略を提案。
- 財務データや経済指標をもとに、投資やリスク管理の判断材料を提供。
- 業務の効率化や新規事業の立案にも、データ分析や予測結果をもとに助言を行う。
科学研究における発見や創造
- 膨大なデータから仮説を導き出し、実験を行い、新たな理論を立てる。
- 既存の科学的知識を基に、新しい材料、化合物、または治療法を設計・提案する。
- 物理学、化学、生物学などの分野を横断し、これまでにない新発見に挑戦する。
災害予測と被害軽減の計画立案
- 地震や台風などの発生確率をリアルタイムで予測し、地域ごとのリスクを評価。
- 予測結果に基づき、事前避難計画や物資の備蓄方法を提案。
- 災害発生後の被害復旧プランも自動的に立案し、迅速な復旧を支援する。
国際外交や紛争解決のサポート
- 国際情勢を多角的に分析し、各国の立場や利益に応じた外交方針を立案。
- 紛争解決のための対話や交渉プロセスを支援し、持続可能な解決策を提案。
- 人道援助や経済支援の最適な配分も計画し、国際協力を促進する。
広範な知的活動を行うAIの理念
Googleディープマインド社の目標である人間の如くに知的活動が可能なAIは利益をもたらし、人類全体にとって利益をもたらすことをめざしています。また、世界の大きな課題を解決していく事を目指しています。具体的にはどんなことが考えられるでしょうか。
具体的に以下のような具体的な分野での貢献が期待されています。
無償の情報提供
Googleとの統合前の旧ディープマインド社はもともと、基礎研究を重視したAIをつくっていました。そうした基礎研究は継続して続けています。AI研究の方向性として「人間を取り巻く世界像」を考え直す必要があると考えていて「科学にまつわる研究」との整合性を認めています。ハサビス氏が開発・発表したそふとである「アルファフォード」はたんぱく質の立体構造を予測します。まさにアルファフォードは世界像を解き明かす為に仕えるAIだといえるのです。
アルファフォードは高精度でタンパク質の立体構造を予測し、病気の仕組み解明や治療法の考察に役立ちます。このソフトがノーベル賞受賞の理由となりました。ユーザーは世界で200万人を超えます。日本人も10万人が使っています。このソフトは無償で研究者に提供されます。Googleから見たら長期的な視野での支援です。なにより、こうした活動は社会的利益をもたらします。
無償で利益を提供する中で英グーグルディープマインド社はユーザーのニーズを理解し、沢山のサンプルを活用できる事例が出来ていくのです。利益と商用的価値を両立させている好例だと言えるでしょう。直接の収益には結びついていませんが同社にとって意義ある利用方法だと言えます。
AIが求めるもの
2陣営のAGI作成団体が求めていく物は色々と変わっていくでしょう。しかし、今回グーグルディープマインド社が明確にしたのは「収益を見込む事業と並行に基礎研究を行い効果を出していく」という方針です。同社の研究に期待できる筈です。
〆最後に〆
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