量子AIという分野がありますが、最適化問題、機械学習の分野で大いに成果が期待されています。商業的にはまだ未知数の部分が多いですが、現存のAIで計算量が発散していく問題に対して解決策の人うかもしれません。そんな「量子コンピューター」の現況を調べてみました。
量子コンピュータでは、従来のコンピュータで使われるビット(bit)の代わりに、**量子ビット(qubit)**が使用されます。量子ビットは、量子力学の特性(重ね合わせ、絡み合い)を活用して、並列計算を行うことができます。しかし、量子ビットの実現には多くの技術的な障害があり、各社は異なる技術を使って量子ビットを実現しようとしています。
以下に、主要な量子コンピュータの開発を行っている企業と、それらの企業が目指している量子ビットの技術を紹介します。
1. IBM: 超伝導量子ビット
- 技術: IBMは、超伝導回路を用いた量子ビットを開発しています。超伝導量子ビット(transmon qubit)は、非常に低温(数ミリケルビン)で動作し、量子状態を維持するために冷却が必要です。超伝導量子ビットは、比較的安定性が高く、スケーラビリティの面でも有望とされています。
- 進捗: IBMは、量子コンピュータをクラウドサービスとして提供し、Quantum HummingbirdやEagleなどのシステムを発表しています。今後、より多くの量子ビットを持つシステム(Condor、Kookaburraなど)を開発予定です。日本の理化学研を始めとした研究機関でも同社からの機種を導入したり、独自に開発したりしています。
2. Google: 超伝導量子ビット
- 技術: Googleも超伝導量子ビットを使用しています。彼らの量子コンピュータは、Sycamoreという名で、特に量子優越性のデモンストレーションで注目を集めました。Googleは、超伝導回路を使って、非常に低温の環境下で量子状態を操作しています。
- 進捗: 2019年に、Googleは「量子優越性」を実証しました。これは、量子コンピュータが特定の問題において、従来のスーパーコンピュータよりもはるかに高速に解決できることを示しました。
3. D-Wave: 量子アニーリング
- 技術: D-Waveは、量子アニーリング技術を使用した量子コンピュータを開発しています。量子アニーリングは、最適化問題に特化しており、量子ビットを相互作用させて、エネルギーが最小になる状態を探索する方法です。D-Waveの量子ビットは、超伝導量子ビットと同様に超低温で動作しますが、量子ゲート操作による計算ではなく、エネルギー最適化に向けた量子アニーリングを行います。
- 進捗: D-Waveは、商業用量子アニーリングシステムを提供しており、実際に多くの企業が最適化問題に利用しています。
4. Honeywell: イオン trap量子ビット
- 技術: Honeywellは、イオントラップ技術を用いて量子ビットを実現しています。イオンが電場で閉じ込められ、レーザー光で量子状態を操作します。イオントラップは、非常に高い精度で量子状態を操作できるため、長いコヒーレンス時間を実現できます。これにより、量子計算の精度と安定性が向上します。
- 進捗: Honeywellは、量子ビット数を徐々に増やしており、ハードウェアの性能も向上しています。最近では、Honeywell Quantum Solutionsというブランド名で商業用の量子コンピュータを提供しています。
5. Rigetti: 超伝導量子ビット
- 技術: Rigettiは、IBMやGoogleと同様に超伝導量子ビットを使って量子コンピュータを開発しています。Rigettiの量子ビットも超伝導回路に基づいており、冷却装置を使用して量子ビットの動作を安定させます。
- 進捗: Rigettiは、クラウドベースで量子コンピュータの提供を行い、量子ソフトウェアの開発にも力を入れています。彼らのプラットフォームであるForestは、量子回路を設計して実行できるツールを提供しています。
6. Microsoft: トポロジカル量子ビット(予定)
- 技術: Microsoftは、トポロジカル量子ビットを開発しようとしています。トポロジカル量子ビットは、量子ビットの状態が物理的に非常に安定しているため、エラーに強いとされています。これにより、量子計算の精度が向上する可能性があります。
- 進捗: 現在、Microsoftはトポロジカル量子ビットの研究を進めており、まだ実用化には至っていませんが、量子コンピュータのソフトウェアや開発環境であるQuantum Development Kitを提供しています。
7. Intel: 超伝導量子ビットと量子ドット
- 技術: Intelは、超伝導量子ビットを基盤にした技術と、量子ドットと呼ばれる半導体技術を使って量子ビットを開発しています。量子ドットは、非常に小さな半導体構造を利用して量子情報を保持し、制御する技術です。
- 進捗: Intelは、量子コンピュータのハードウェアとソフトウェアの開発を進めており、量子ドット技術に関連する研究にも注力しています。
まとめ
各社は、異なる技術で量子ビットを実現しようとしており、主なアプローチとしては以下のものがあります:
- 超伝導量子ビット(IBM, Google, Rigetti, D-Waveなど)
- イオントラップ量子ビット(Honeywell)
- 量子ドット技術(Intel)
- トポロジカル量子ビット(Microsoft)
現段階では、量子コンピュータの実用化にはまだ多くの課題が残っていますが、各企業はこれらの技術の中で最も適したものを選び、開発を進めています。今後の進展が非常に楽しみな分野であり、量子AIの実現にも大きな影響を与えるでしょう。
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